新たな命を吹き込む
10年ほどのお付き合いをさせていただいているお客様から、「ずっと前にいただいて飾っているお人形が、日に焼けて可哀そうなことになってるので、せめてお洋服だけでも新しく作ってもらえないでしょうか?」というご依頼をいただきました。
おそらく8年ぐらい前にお買い上げ下さったお人形。それ相応の経年劣化を想像していましたが、手元に届いたお人形はやはり年季の入った状態になっていました。
まずは、全体をチェックして、どこをどう新しくするかを検討し、リメイクの方針が決まったところでボディを裸ん坊に。
ドロワーストペチコートは生地の痛みもなくしっかりとしていたので、漂白してから柔軟剤仕上げをしておきます。
ワンピースは日焼け色褪せのダメージが大きかったので、思い切って廃棄して完全に作り直します。
髪の毛がどうしても気になってしまい、ここを変えたい!と思った時点で、頭ごと作り直しが決まりました。(髪の毛は頭に直接接着しているので)
当然、それに伴ってかぶせているボンネットも新たに作ります。
今回、ワンピースの生地には爽やかな水色の小花プリント生地を選びました。
髪の毛は、「ハマナカモヘア」で少し長目の三つ編みに。
ボンネットは、顔周りのレースのみ再利用し、他は2ミリ厚のフェルトとレースでデコレーション。
出来たてホヤホヤのお顔をボディに縫い留め、真っ白な洗いたてのドロワースとペチコート、ワンピースを着せ付け、天然石の「ピンクエピドート」のネックレスを付けて完成です!
長い間、数えきれないほどのお人形を制作し、色々な方の元へ送り出して来ました。
お人形たちのその後が果たしてどうなっているのか…? ふと心に浮かぶことはあっても、実態はほぼわからないままです。
今回のご依頼を通して、自分が手掛けた作品が長い年月大切に飾られていたことに、今更のように感動してしまいました。
これまで以上に、より丁寧な仕事をしていかなければ。